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【ツキイチ通信】2024年11月号 飛騨の「えごま」のお話し

お世話になっております。

飛騨高山で山菜・キノコなど、「山の幸」の品揃えをしております山一商事株式会社

特販部でございます。

このツキイチ通信デジタル版では地元の飛騨高山と弊社山一商事をもっと知って頂きたいと、

地元の原料状況、市場状況、また地元飛騨高山情報など発信しております。

(11月9日撮影 高山市上二之町 古い町並み)

先週飛騨高山の乗鞍岳山頂には初雪が降り、とうとう冬がやってきたと覚悟していたのですが、

その後あまり冷え込みが少なく、市内はいまだ秋の陽気が続いて助かっています。

秋の行楽シーズ到来で市内には観光客が多く、最近海外の団体客も少しずつ見受けられるようになってきています。

周りの山々は紅葉がきれいな季節になり、この時期では米や果物を中心に様々な食材が収穫を迎えます。

そんななか10月下旬から地元飛騨地方で昔から食されている「えごま」(飛騨弁 あぶらえ)の収穫時期を迎えました。

そこで今回のツキイチ通信デジタル版では飛騨地方に伝わる食材「えごま(あぶらえ)」をご紹介させて頂きます。

日本ではインド原産の胡麻よりも歴史は古く、縄文時代早期から食されてきたそうですが、

今日本で食されている地域は限定されたものになっているのが現状です。

「えごま」はその名の通り「胡麻」に良く似ていますが「胡麻」ではなく、紫蘇科の植物の種子ですので、

味と香りは胡麻とは違い、やはり紫蘇に似た香りがします。

韓国ではえごまの葉を焼肉に巻いて食べたりキムチにしたりしますが、やはり葉っぱも同様に紫蘇に近い香りと味がします。

ここ飛騨高山では昔から、「えごま」を乾煎りしてすり鉢ですり、砂糖と醤油,みりんなどで味付けして、

ほうれん草やじゃがいも等の和え物に使っています。特に五平餅や餅などに絡めたものは地元の子供から大人まで大人気です。

近年「えごま」が豊富に持っているα-リノレン酸が注目され、健康食品として様々な食品に

使われ始めてきましたが、ブームになる前は鳥のエサに使われていたほど虐げられていました。(笑)

今回その「えごま」の栽培現場と収穫作業をご覧頂きたいと思います。

もともと痩せた土地でも栽培できる食材ですから、それほど栽培で気を付けることの無い程強い植物です。

畑の近くに行くと、えごま独特の香りが当たり一面に漂います。

秋の収穫時期を迎えると、えごまの茎を刈った後そのまま乾燥させます。

十分に乾燥できたら、いっせいに枝打ちしてえごまの実を落としていきます。

枝打ち後のえごま 実がきれいに抜け落ちています。

栽培自体それほど気を使わないとお伝えしましたが、「えごま」でたいへんな作業は実はここからです。

1~2mmほどの小さい実なので、ゴミや殻、石などを落としていく作業が一番たいへんになります。

大きなゴミはふるいに掛けて、ある程度ゴミを落としていきます。

そして大きなゴミが落ちた段階で、機械で風を起こし、殻などを飛ばしていきます。

繰り返すこと3回、ようやく殻などが取れてきました。

ゴミを除去した「えごま」を水の中に入れ拡販し、浮いたえごまのみザルですくい取ります。 

石や品質不良のえごまは下に沈みますので、慎重に浮いたえごまをすくい取ります。

この作業を3回繰り返し、洗い終わったえごまです。

最後にこれを乾燥させてようやく完成です。

ただ最後の乾燥が弱ければすぐカビが生えてきますので、最後の乾燥状態まで気が抜けません。

弊社ではこれを乾煎りしてペースト状にすり、瓶詰めにした「えごまペースト340g瓶」が

ございますのでお気軽にお問合せください。

「えごま(あぶらえ)」は飛騨地方の伝統料理に欠かせない貴重な食材ですが、

これも農家の高齢化でいつまで栽培してもらえるか・・・。

農家の子供たちは残念ながら、このたいへんな作業のあとをなかなか継いではもらえません。

今後も地元の原料状況、市場状況、また地元飛騨高山情報など発信して参ります。

どうぞ引き続きお付き合いの程よろしくお願い致します。

ツキイチ通信 業務用食材月刊誌
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