多くの人が「健康に良い食とは何か?」を考えたこの半年間、有機野菜や無添加食材などに加えて、日本の発酵の食文化にもスポットが当たりました。飛騨を代表する食文化といえば「朴葉味噌」。先人の知恵がたくさん詰まったこの料理を改めて考えた時、そこには多くのアレンジや拡張性がありました。もともとの始まりは、冬の間に凍った漬物を囲炉裏の上に朴葉を敷き、漬物をとかし温め、そこに味噌や季節の山菜加えて食べたことでありました。そこから飛騨の人々の食生活の一部に組み込まれ、ネギや椎茸といった家庭にある食材を余すことなく美味しく食べる、生きるための知恵が詰まった食文化となったのです。
時代が変わって、世の中に食が溢れ、観光による街づくりが盛んになるに連れ、朴葉味噌も飛騨牛がのったりと一気に観光化していきますが、時代はさらに進み、私達はより新しいものを求めるようになっていきました。そして、今日、「より健康な食」や「免疫力」を考えるようになりました。日本の風土から生まれた発酵食品が見直され、身近な食文化が再考されることに…。「粗食」や「もったいない」といった山里の食文化の本質は、これから改めて私達の健康な食(ヘルシーライフ)のスタンダードになり、一方でエンターテインメントにもなっていくことでしょう。そんな中、今まさに、飛騨を代表する食文化「朴葉味噌」は最高の進化を遂げようとしています。ぜひ多くのお店で、独自のアレンジをしながら、取り入れていただきたいものです。
ツキイチ通信のバックナンバー
●ツキイチ通信2014年12月号 「これぞ、里山の郷土料理 山菜朴葉味噌」