飛騨高山で山菜・キノコなど、「山の幸」の品揃えをしております山一商事株式会社特販部です
ここ飛騨高山は11月19日に初雪が降り、寒さが一段と厳しくなってきています。
雪が降って喜んでいるのは海外からの観光客か地元の小学生くらいでしょうか(笑)、地元民はこれから長く厳しい冬に備えなければなりません。
慌てて車のタイヤをスタットレスタイヤに換えたところです。
今回のデジタル版は飛騨ならではの食材「棗(なつめ)」をご紹介したいと思います。
昔から飛騨では秋の高山祭(10月9日~10日)頃に棗は収穫され甘露煮にして食べられてきております。
昔この地域では子供が生まれると子供が食べるのに困らないようにと食糧難に備えて棗(なつめ)を自宅の敷地に植えるという習慣がありました。
その名残で飛騨では棗(なつめ)の木が多く生えており、秋になってその実が茶色く熟したら収穫し、甘露煮にして食卓に並べられます。
私は今年56歳ですが、子供のころ棗(なつめ)の新物が出ると祖母が必ず夕飯に丼いっぱい山盛りにした棗(なつめ)を食卓のど真ん中に置き、家族7人が競うように食べていました。
味が甘いためデザートのようで、決してご飯のおかずにはならないのですが、煮詰めた「りんご」の様な味に好んで食べていた記憶が懐かしく思い出されます。
ただ残念ながら若い世代の人は棗(なつめ)をめったに食さなくなりました。
食文化継承のためと小学校、中学校の学校給食に出されると、ほとんどの生徒は嫌いで残してしまうとの事。
今の小学生、中学生の親(30代~40代)が食べていないので当然食卓に並ぶ事が無くなって、子供たちも棗の甘露煮に接する機会がありません。
食べると皮が堅いし種があるので食べるので面倒くさい。味はりんごの様な味だけど、
甘露煮なので食感はにゅるっとして気持ちが悪いとの子供達の評価です。(笑)
食べる人が少なくなれば、棗の木に鳥が集まり汚されるという理由で家に植えている
棗の木を切ってしまう家が年々増えてきています。このままいけばあと10年後には
無くなる食文化かなと寂しく思っています。
これから「棗の甘露煮」は地元の珍しい食材として、地元の料亭・割烹等でハレの食事にだけ出されていくのだと思います。
今後も地元の原料状況、市場状況、また地元飛騨高山情報など発信しております。
どうぞお付き合いの程よろしくお願い致します。
(山一商事 特販部 0577-57-8132)